煎茶・深蒸し煎茶(ふかむしせんちゃ)
[製法]
茶樹の栽培時に覆いをしないで、直射日光を十分受けて育った 新芽を摘採し、蒸し
て揉みながら乾燥して製造します。
[特徴]
さわやかな香りとほどよい渋み、明るい緑色の水色が特徴で、現在飲まれている日
本茶の中で最も一般的なお茶である。
茶の味を表現するのに重要な項目に渋みがある。これは茶葉成分のカテキン(タン
ニン・緑茶ポリフェノール)のもつ渋味 によるもので、この成分が多ければ多いほ
ど渋 味が強くなる。近年この成分の機能性(抗酸化作用、消臭作用、抗菌作用、抗癌作
用、メラニン抑制作用など) が研究されており、最近の緑茶ブームのきっかけを作っ
た。
深蒸し煎茶(ふかむしせんちゃ)
煎茶と同じ製法ですが、通常の2〜3倍の時間をかけて深く蒸したものを深蒸し煎茶と言います。煎茶よりは茶葉
が細かく、粉状のものが混ざっています。浸出されたお 茶の色は鮮やかな緑色の水色で、渋味が抑えられ、甘味とコク
のあるまろやかな味が特徴です。淹れ方やお湯の温度は 煎茶と同じですが、お茶の浸出時間が煎茶よりも短時間
ですむのも深蒸し煎茶の特徴です。
●主役は『うま味』。でも『渋味』と 『苦味』がなければ引き立ちません。
さて、緑茶の味わいの最大の特徴、おいしさの主役は、『うま味』です。奥深く、コ
クのある『甘味』と表現することができる『うま味』は、緑茶にしかない独特のもの。
テアニンというアミノ酸物質が、『うま味』の成分です。テアニンは、良質な生葉を
使った上級茶ほど含有量が多くなり、よりおいしい緑茶になります。
しかし、どんなにテアニンが多く、甘味豊かで『うま味』が高くても、『渋味』と
『苦味』がなければ、緑茶の風味、奥深いおいしさは生まれません。『渋味』と『苦
味』が適度にあり、『うま味』と調和し、お互いが引き立てあって初めて、コクのあるおいしい
緑茶と言えるのです。
●素晴らしい風味を生み出す深蒸しの技。
3つの味わいが息づき調和した、おいしい煎茶を作るために、当園が試行を重ねて行
き着いたのが、 深蒸し の製法です。生葉を蒸すという、製茶の最も大切な工程で、
通常より長い時間をかけてムラなくじっくりと蒸すことにより、『甘味』が豊かでコク深く、
『渋味』と『苦味』がほどよくきいた素晴らしい風味のお茶ができるのです。
『渋味』や『苦味』は、ぬるいお湯で淹れると弱くなり、熱いお湯でいれると強くな
ります。気分や体調により、風味を変えてみるのも、緑茶ならではの愉しみです。
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