本山の里はお茶の理想郷
 
よい茶葉は土づくりから始めます。
 
荒茶づくりから仕上げまで。職人技が活きています。
 
 
 
■生葉が煎茶に生まれ変わるまで
摘んだばかりの生葉が、細くよれて味を凝縮させたおなじみのお茶に仕上がるまでには、さまざまな手間を必要とします。製茶機械が進歩した今でも、製茶工場には「茶師」と呼ばれる製茶職人たちの技が欠かせません。製茶工程には大きく分けて二つの段階があります。生葉を蒸して揉み、保存に適する荒茶と呼ばれる状態にするのが第一段階、また荒茶を必要な量 だけその都度火入れして、商品としてのお茶に仕上げるのが第二段階。通 常、荒茶づくりは生産農家の仕事、そしてその荒茶を仕入れる茶商たちが仕上げの役割を担っていますが、農家でもあり茶商でもある私たち佐藤製茶グループは、製茶の全工程を自社工場で責任をもって行っています。その味を最終的に決めているのは、茶師・森富士夫。茶葉の持ち味をいかに最大限に引き出すかが森をはじめとする茶師たちのテーマです。「料理と同じで、お茶も素材が命。だからよいお茶をつくるには、まず茶葉の特性を見極める目がいるんです。結局、人間の勘ですね」。荒茶の質を大きく左右する蒸し時間を生葉の状態によって調整する、仕上げの火入れでは加工する季節や時間帯によって細かく火加減を変える、といった技は、茶師の腕一つにかかっています。「お茶の味、香り、水色、外観のうち、どれかをよくしようとすると他のどれかに影響が出ます。だから茶師は自分なりの基準を持っていないと」。私たちの製茶工場では、朝礼時に全員で鑑別 (利き茶)の特訓をするのが恒例。鑑別とは、茶葉の手触りや香り、外観、水色などから茶葉の特性を見極めることです。熟練の茶師は産地や品種までも言い当てるほど。五感を駆使して日々多くのお茶を経験し、自分なりのお茶づくりの姿勢を培った者だけがよい茶師になれるのです。茶師・森が今めざしているのは、山のお茶特有の香り高いお茶。「同じ本山産のお茶でも山奥のものは香りがいい。今後もっとうまく生かしていきたいですね」。
■茶園から始める製茶
佐藤製茶グループの茶師の仕事は工場の中にとどまりません。本山の里に理想の茶葉を求め、契約農家に栽培方法をアドバイスしたり、味の観点から要望を伝えることもしばしば。これも、生葉から包装までの一貫製造だからできることです。「長くご愛顧いただいているお客様は味の変化に敏感。茶葉の作況は毎年変わるから、できる限り一定の質に保つのに苦心します」(森)。毎年同じ本山の産地から計画的に茶葉を確保することで、より安定した「いつもの味」をお届けできるのも、一貫製造ならではです。
■製茶の工程
佐藤製茶では、荒茶づくりから仕上げ工程までを一貫して自社工場で行っています。
荒茶製造※通常は生産農家の仕事です。
■生葉
摘むとすぐ変質が始まるため、直ちに荒茶に加工されます。
■蒸し
加熱蒸気で生葉の発酵をとめます。浅蒸しから深蒸しまで蒸し時間を秒単位 で調整。
■揉捻
加圧し揉みながら茶葉の水分を搾り均一にします。
■精揉
仕上げの揉み。細くよりこみ、形を整えながら乾かしていきます。
■乾燥
水分量5〜6%程度に乾かし、荒茶に仕上げます。この状態で冷蔵庫に保管されます。
仕上げ※通常は茶商の仕事です。
■再製
細かい粉や茎などをきれいに取り除き、形を整えます。
■火入れ
お茶本来の香りを引き出すため再度乾燥させ、風味豊かなお茶に仕上げます。
■品質管理
香り・味・水色を最終的に茶師の手で確認し品質に万全を期します。

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